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歯列矯正後に銀歯を卒業した私の話
二年半にわたる歯列矯正を終え、ブラケットが外れた日の解放感と感動は、今でも鮮明に覚えています。鏡の前で、がたがただった前歯が綺麗に整列しているのを見たとき、本当に頑張ってよかったと心から思いました。悩み続けた歯並びのコンプレックスから、ついに解放されたのです。しかし、私の心の中には、新たな欲求が芽生え始めていました。それは、綺麗に並んだ歯の中に点在する「銀歯」の存在です。歯並びが整ったことで、以前よりも奥歯の銀歯が目立つように感じられるようになったのです。せっかくここまで頑張ったのだから、完璧な口元を目指したい。そんな思いが日増しに強くなっていきました。私は、矯正治療でお世話になった先生にその気持ちを相談しました。先生は私の気持ちを理解してくださり、銀歯を白いセラミックに変える治療について、メリットやデメリット、費用などを詳しく説明してくれました。セラミックは見た目が美しいだけでなく、汚れが付きにくく、金属アレルギーの心配もないこと、そして何より、銀歯よりも精密に作製できるため、歯との適合が良く二次虫歯になりにくいという利点に強く惹かれました。費用は決して安くはありませんでしたが、これは一生ものの投資だと考え、特に目立つ下の奥歯の銀歯をセラミックのインレー(詰め物)に変える決心をしました。治療は数回に分けて行われました。銀歯を外し、歯の形を整えて型を取り、新しいセラミックインレーを装着する。全ての治療が完了し、改めて鏡で口の中を見たとき、私は再び感動に包まれました。そこには、白く輝く、統一感のある美しい歯が並んでいたのです。歯列矯正が、私に歯並びの美しさだけでなく、口全体の健康と審美性に対する高い意識を与えてくれました。銀歯だらけだった私の口は、今や一番の自慢です。矯正治療をゴールとせず、その先にある理想の口元を追求した私の選択は、大正解だったと確信しています。
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銀歯のある歯列矯正を成功させる秘訣
銀歯が多い方の歯列矯正は、いくつかのポイントに注意することで、よりスムーズに、そして安全に進めることができます。もしあなたが銀歯のある状態で矯正を検討しているなら、これからお話しする秘訣をぜひ心に留めておいてください。まず最も重要なのが、矯正装置の接着に関する問題です。歯にブラケットという装置を接着する際、天然歯の表面(エナメル質)と、金属やセラミックである銀歯の表面とでは、接着のメカニズムが異なります。金属面は接着剤が付きにくく、外れやすい傾向があるのです。そのため、歯科医師は金属専用のプライマーという下地処理剤を使用したり、銀歯の表面を特殊な器具でわざと少し荒らして接着面積を増やしたりといった工夫を凝らします。場合によっては、ブラケットを直接接着するのではなく、歯をすっぽりと覆うバンドという輪っか状の装置を選択することもあります。次に意識すべきは、虫歯のリスク管理です。矯正装置の周りはただでさえ歯磨きがしにくく、磨き残しが出やすい場所です。特に銀歯は、歯との境目に段差ができやすく、そこから再び虫歯になる「二次カリエス」のリスクが高い部分です。矯正中は、このリスクがさらに高まることを理解し、これまで以上に丁寧なセルフケアを徹底する必要があります。歯ブラシだけでなく、ヘッドの小さなタフトブラシや歯間ブラシ、デンタルフロスを駆使して、銀歯の縁や装置の周りを意識的に清掃する習慣をつけましょう。そして最後に、矯正中のトラブルへの心構えも大切です。矯正力がかかることで、適合の悪かった銀歯が外れてしまったり、下に隠れていた虫歯が見つかったりすることもあります。そうした際は、慌てずに速やかに担当の歯科医師に連絡し、指示を仰ぐことが肝心です。これらの点を理解し、歯科医師と二人三脚で治療に取り組むことが、銀歯のある歯列矯正を成功へと導く最大の秘訣と言えるでしょう。