前歯のすき間が埋まった彼女の半年間
都内のアパレルショップで働くミカさん(24歳)は、笑うと目立つ上の前歯のすき間、いわゆる「すきっ歯」に長年悩んでいた。お客様と接する仕事柄、口元には常に気を使っていたが、ふとした瞬間に鏡に映る自分の笑顔が好きになれなかった。全体矯正をするほどの時間も金銭的余裕もないと諦めていたが、同僚から「前歯だけのマウスピース矯正」について聞き、興味を持った。彼女が選んだクリニックでは、3Dスキャナーで歯型をとり、コンピュータ上で治療シミュレーションを行った。画面には、数ヶ月後にすき間がぴったりと閉じた未来の歯並びが映し出され、ミカさんの期待は高まった。彼女のケースでは、上の前歯6本を対象としたマウスピース矯正が適用され、治療期間は約7ヶ月、費用は総額で約40万円とのことだった。治療が始まると、2週間ごとに新しいマウスピースに交換していく。最初の数日は少し締め付けられる感覚があったが、痛みというほどではなく、すぐに慣れた。透明なマウスピースはつけていることがほとんど分からず、接客中も全く気にならない。食事と歯磨きの時以外は一日20時間以上装着するというルールも、理想の笑顔のためだと思えば苦ではなかった。そして治療開始から半年が過ぎた頃、最後のマウスピースを外し、鏡を見たミカさんは思わず声を上げた。気にしていた前歯のすき間は跡形もなく消え、綺麗に並んだ歯が光っていた。治療後は、後戻りを防ぐための保定装置(リテーナー)に移行したが、それも彼女にとっては輝く笑顔を維持するための大切な習慣だ。コンプレックスから解放されたミカさんは、以前にも増して自信に満ちた笑顔で、今日も店頭に立っている。