顔のエラが張っていることがコンプレックスで、歯列矯正治療によって少しでも改善できないかと考えている方は、歯科医院選びとカウンセリングの受け方が非常に重要になります。なぜなら、全ての歯科医師がエラの張りに対するアプローチに長けているわけではなく、また、患者さんの希望を正確に伝え、共有することが、満足のいく治療結果を得るためには不可欠だからです。まず、歯科医院選びのポイントとしては、「噛み合わせ治療や顎関節症治療にも精通している矯正歯科医」を探すことが挙げられます。エラの張りが咬筋の過緊張や歯ぎしり・食いしばりと関連している場合、単に歯を並べるだけでなく、機能的に安定した噛み合わせを確立し、顎関節への負担を軽減するような治療計画が求められます。そのため、矯正治療だけでなく、噛み合わせ全体のバランスや顎関節との関連性を深く理解している歯科医師を選ぶことが望ましいでしょう。日本矯正歯科学会の認定医や専門医であることに加え、日本顎咬合学会や日本顎関節学会などの関連学会に所属しているかどうかも、一つの目安になるかもしれません。次に、カウンセリングの際のコツです。最も大切なのは、「エラの張りが気になっていること、そして歯列矯正によってそれが少しでも改善されることを期待している」というご自身の希望を、正直かつ具体的に歯科医師に伝えることです。遠慮したり、曖昧な表現をしたりせず、どの程度エラが気になっているのか、どのような変化を望んでいるのかを明確に伝えましょう。その上で、歯科医師から、ご自身のエラ張りの原因(骨格的なものか、筋肉的なものか、あるいはその両方か)についての診断と、歯列矯正治療によってどのような変化が期待できるのか、そしてその限界はどこにあるのか、といった点について、具体的な説明を求めるようにしてください。例えば、「あなたの場合は、咬筋の発達がエラ張りの主な原因と考えられるため、歯列矯正で噛み合わせを整えることで、筋肉の緊張が緩和され、エラの印象がスッキリする可能性があります。ただし、骨格そのものを変えるわけではないので、劇的な変化は期待できません」といった、現実的な見通しを示してくれる歯科医師であれば、信頼できるでしょう。
エラが気になる人の矯正歯科選びとカウンセリングのコツ