大学病院で歯列矯正治療を受ける際に、担当医が「研修医」あるいは「大学院生」となることがあります。これは、大学病院が高度医療を提供する機関であると同時に、将来の歯科医師を育成する「教育機関」としての役割も担っているためです。この「研修医が担当する」という点について、患者さんとしては不安を感じることもあるかもしれませんが、実はメリットとデメリットの両側面があります。まず、デメリットとして考えられるのは、やはり「経験の浅さ」に対する懸念でしょう。研修医は、まだ臨床経験が豊富な指導医に比べれば、診断能力や技術的な熟練度において発展途上であることは否めません。そのため、治療の判断に迷ったり、処置に時間がかかったりすることがあるかもしれません。また、治療の途中で担当医が異動や卒業によって変わってしまう可能性も、専門クリニックに比べて高いと言えます。これにより、一人の医師に最後まで継続して診てもらいたいという希望がある方にとっては、不安要素となるでしょう。しかし、一方で、研修医が担当することにはメリットも存在します。最も大きなメリットは、「指導医による厳格な監督と指導のもとで治療が行われる」という点です。研修医は、必ず経験豊富な指導医(教授、准教授、講師など)の指導・監督を受けながら治療を進めます。治療計画の立案から、毎回の調整、そして治療の評価に至るまで、指導医が細かくチェックし、指示を与えます。つまり、実質的には「複数の目で治療を見守ってもらっている」状態であり、むしろ独断的な判断や見落としが起こりにくい、より安全で確実な治療が期待できるとも言えるのです。また、研修医は、指導医から常に最新の知識や技術を学んでおり、熱意を持って治療に取り組む傾向があります。患者さん一人ひとりに対して、時間をかけて丁寧に説明したり、親身になって相談に乗ってくれたりすることも多いでしょう。さらに、大学病院では、定期的にカンファレンス(症例検討会)が開かれ、複数の医師が意見を交換しながら治療方針を決定していくため、より客観的で質の高い治療計画が期待できます。そして、もし研修医の対応に不安を感じたり、疑問点があったりした場合には、遠慮なく指導医に相談することも可能です。大学病院で治療を受ける際には、このような教育システムについて事前に説明があるはずです。
大学病院の歯列矯正!研修医が担当することのメリット・デメリット