顔の骨格、例えばエラの張り、頬骨の高さ、顎の長さや形などに悩みがあり、歯列矯正治療でそれが少しでも改善できないかと考えている方は、カウンセリングの受け方が非常に重要になります。なぜなら、ご自身の希望や懸念を正確に歯科医師に伝え、歯列矯正で何ができて何ができないのか、その限界と可能性を正しく理解することが、後悔のない治療選択に繋がるからです。まず、カウンセリングを受ける前に、ご自身が顔の骨格のどの部分に、どのような悩みを持っているのかを具体的に整理しておきましょう。「エラが張っているのが気になる」「口元が出ているせいで頬骨が目立つ気がする」「顎がなくて横顔に自信がない」など、できるだけ具体的に伝える準備をしておくと、歯科医師も問題点を把握しやすくなります。そして、カウンセリングの際には、これらの悩みを正直に、そして遠慮なく歯科医師に伝えましょう。「こんなことを言ったら美容整形を勧められるのでは…」などと心配する必要はありません。歯科医師は、患者さんの悩みに真摯に耳を傾け、歯列矯正という医療の範囲内で、どのようなアプローチが可能かを考えてくれます。次に、歯列矯正治療によって、その骨格的な悩みがどの程度改善される可能性があるのか、具体的な説明を求めましょう。例えば、「あなたのエラ張りの原因は、骨そのものよりも咬筋の発達が大きいようなので、歯列矯正で噛み合わせを整えれば、筋肉の緊張が緩和されてスッキリするかもしれません」あるいは「あなたの口元の突出は、歯の傾きが主な原因なので、歯を後退させればEラインが整い、頬骨の印象も変わるでしょう。しかし、頬骨の骨の高さ自体は変わりません」といったように、医学的な根拠に基づいた、現実的な見通しを示してくれるかどうかがポイントです。この時、もし可能であれば、類似症例の写真や、3Dシミュレーション画像などを見せてもらいながら説明を受けると、よりイメージが湧きやすくなります。また、歯列矯正では改善が難しい部分については、正直にその限界を説明してくれる歯科医師を選びましょう。無理に「何でも治せます」と言うような医師よりも、できないことはできないと明確に伝えてくれる医師の方が、信頼できると言えます。