銀歯が多い方の歯列矯正は、いくつかのポイントに注意することで、よりスムーズに、そして安全に進めることができます。もしあなたが銀歯のある状態で矯正を検討しているなら、これからお話しする秘訣をぜひ心に留めておいてください。まず最も重要なのが、矯正装置の接着に関する問題です。歯にブラケットという装置を接着する際、天然歯の表面(エナメル質)と、金属やセラミックである銀歯の表面とでは、接着のメカニズムが異なります。金属面は接着剤が付きにくく、外れやすい傾向があるのです。そのため、歯科医師は金属専用のプライマーという下地処理剤を使用したり、銀歯の表面を特殊な器具でわざと少し荒らして接着面積を増やしたりといった工夫を凝らします。場合によっては、ブラケットを直接接着するのではなく、歯をすっぽりと覆うバンドという輪っか状の装置を選択することもあります。次に意識すべきは、虫歯のリスク管理です。矯正装置の周りはただでさえ歯磨きがしにくく、磨き残しが出やすい場所です。特に銀歯は、歯との境目に段差ができやすく、そこから再び虫歯になる「二次カリエス」のリスクが高い部分です。矯正中は、このリスクがさらに高まることを理解し、これまで以上に丁寧なセルフケアを徹底する必要があります。歯ブラシだけでなく、ヘッドの小さなタフトブラシや歯間ブラシ、デンタルフロスを駆使して、銀歯の縁や装置の周りを意識的に清掃する習慣をつけましょう。そして最後に、矯正中のトラブルへの心構えも大切です。矯正力がかかることで、適合の悪かった銀歯が外れてしまったり、下に隠れていた虫歯が見つかったりすることもあります。そうした際は、慌てずに速やかに担当の歯科医師に連絡し、指示を仰ぐことが肝心です。これらの点を理解し、歯科医師と二人三脚で治療に取り組むことが、銀歯のある歯列矯正を成功へと導く最大の秘訣と言えるでしょう。
銀歯のある歯列矯正を成功させる秘訣