大学病院で歯列矯正治療を受ける場合、一般的な矯正歯科クリニックとは少し異なる流れや、注意しておきたい点があります。事前にこれらを理解しておくことで、スムーズに治療を進めることができるでしょう。まず、治療開始までの流れです。多くの大学病院では、最初に受診する際に「紹介状(診療情報提供書)」が必要となる場合があります。かかりつけの歯科医院や、他の医療機関で相談した際に、大学病院での治療が適切と判断された場合に書いてもらうことになります。紹介状がない場合でも受診できることもありますが、その場合は初診料とは別に「選定療養費」という追加の費用がかかることがあるので、事前に確認しておきましょう。初診では、まず問診や口腔内の簡単な診察が行われ、その後、精密検査に進みます。これらの検査結果を基に、複数の歯科医師(指導医や担当医など)が診断と治療計画の立案を行い、後日、改めて治療方針や期間、費用などについての詳しい説明(コンサルテーション)が行われます。この診断と治療計画の立案には、専門クリニックに比べてやや時間がかかる場合があることを念頭に置いておくと良いでしょう。次に、治療中の流れです。大学病院では、担当医(主治医)が中心となって治療を進めますが、指導医の監督のもと、研修医や大学院生が実際の処置の一部を担当することもあります。これは大学病院が教育機関でもあるためですが、必ず指導医のチェックが入るので、治療の質が劣るということはありません。むしろ、複数の目で確認されることで、より安全で確実な治療が期待できるという側面もあります。通院頻度は、月に一度程度が一般的ですが、治療の段階や状況によって異なります。予約は、専門クリニックに比べて取りにくい場合や、待ち時間が長くなる傾向があることも理解しておく必要があります。そして、治療終了後は、保定期間に入り、リテーナー(保定装置)を装着して歯並びを安定させます。この期間も、定期的な通院が必要です。大学病院での歯列矯正の注意点としては、まず「担当医の変更の可能性」が挙げられます。研修医や大学院生が担当医の場合、人事異動や卒業などによって、治療途中で担当医が変わることがあります。もちろん、引き継ぎはしっかりと行われますが、一人の医師に最後まで診てもらいたいという希望がある場合は、事前に確認しておくと良いでしょう。