私の歯並びとの戦いは、月に一度、矯正歯科の予約が近づくと少しだけ憂鬱な気分になることから始まっていた。私が選んだのは、最もスタンダードな金属ブラケットを使った表側ワイヤー矯正。そして、その治療計画には「月一回の調整」という約束事が組み込まれていた。最初の数ヶ月は、その日が来るのが待ち遠しかった。なぜなら、調整後の数日間は歯がじんわりと痛むものの、それは歯が確実に動いている証拠であり、鏡を見るたびに少しずつ変化していく自分の歯並びを見るのが何よりの楽しみだったからだ。調整日の流れはいつも同じだ。まず歯科衛生士さんが、前回からの1ヶ月間でたまった歯石や着色を丁寧にクリーニングしてくれる。矯正装置の周りは本当に歯磨きが難しく、このプロによる清掃はまさに至福の時間だった。その後、いよいよ先生による調整が始まる。「順調に動いていますね」という先生の一言に安堵し、古いワイヤーが外され、新しいワイヤーが装着される。きゅーっと締め付けられる独特の感覚。この力が、また次の1ヶ月、私の歯を正しい位置へと導いてくれるのだ。しかし、治療が中盤に差し掛かると、正直なところ、この月一回の通院が負担に感じることもあった。仕事の合間を縫って時間を作り、片道30分かけてクリニックへ向かう。治療自体は30分から1時間程度で終わるが、移動時間を含めると半休を取らなければならない日もあった。それでも私が一度も予約をキャンセルしなかったのは、先生との約束を守ることが、最短で理想の歯並びを手に入れるための唯一の道だと分かっていたからだ。通院は、単にワイヤーを調整するだけの時間ではなかった。先生に小さな不安を相談したり、歯科衛生士さんに効果的な歯磨きのコツを改めて教わったりする貴重なコミュニケーションの場でもあった。約二年半、私のカレンダーに刻まれ続けた月一回の印。それは、面倒な義務ではなく、未来の自分の笑顔のための、大切なマイルストーンだったのだと、装置が外れた今、心からそう思う。
私の歯列矯正と月一回の通院記録